カテゴリー「書籍・雑誌」の記事

2008.06.21

『少女コレクション序説』

タイトルに惹かれました。
もちろん澁澤龍彦です。

『少女コレクション序説』澁澤が娘としてかわいがっていた、四谷シモン作の少女人形が表紙と口絵を飾り、アヤシさ満点ですがその通りですcoldsweats01
なんたってエロティシズムに関してのエッセイ集ですから。

この本のための書き下ろしではなく、刊行済みの単行本からのセレクトエッセイ集のため、表題の「少女」というモチーフにのみ言及している訳ではないです。
それでも初出年が昭和39年から56年というから、ビックリです。全然文章が古びていません。

エッセイの中に既読の「驢馬の皮」のことや『世界悪女物語』で取り上げられた人物が出てくることも多く、その他ベルメールやピアズリーなど基本的知識として必要な人物・事柄が多いです。
つまり、全くヨーロッパ文化(文学・歴史を含む)に興味のない人がいきなり読んでも、本当の面白さは判りにくいのかな、と思います。
少なくとも耽美が好きじゃないとね。(でも澁澤を読む時点で既に耽美好きだよねsweat02

私は昔から近親相姦というモチーフが好きなのでsweat01、このエッセイ集の中でも「インセスト、わがユートピア」と「近親相姦、鏡の中の千年王国」の2編が面白かったです。
近親相姦と同性愛が絡まった三角関係って、昔のヨーロッパはすごい世界ですsweat02

閑話休題。
このエッセイ集の最後の「マンドラゴラについて」ですが、内容としては非常に興味深い、面白いものなのですが、このエッセイ集の中では少々異質に感じました。
マンドラゴラと聞いて思い浮かんだのは「のだめカンタービレ」で出てきたミュライユの「ラ・マンドラゴール」。オクレール先生が植物のかたちをしていたのは、まさにマンドラゴラだったんですね。
思わぬところで思わぬモチーフがつながっていくと感動します。

…こうして役に立たない知識がまた増えていくのね…coldsweats01

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.06.10

『功名が辻』

司馬遼太郎の『功名が辻』全4巻を読了しました。

『功名が辻』文春文庫司馬遼太郎氏の作品は『竜馬がゆく』に次いで2つ目の読了です。
どっちもドラマを見て(しかも上川隆也さんだよ、どっちもcoldsweats01)の読書。
大河ドラマを見ていたので、ストーリーは知っていたのですが、ドラマと違う部分も多く、いろいろ比較して読み進めていきました。

この作品の面白さは、何と言っても平凡な武士が最終的には一国一城の主になることですね。
小説の方が脇役のサイドストーリーがないため、本当に千代と一豊が一心同体のような状態で立身出世していく感じで、山内家にグーッとのめり込めます。
司馬遼太郎の文章も相変わらず読みやすく、一気読みしてしまいます。

『竜馬がゆく』『功名が辻』と土佐所縁の話を読んでいるので、次に読む司馬作品も土佐がらみにしようかな、と思ってます。
長宗我部の話も書いてるみたいなので。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.29

『世界悪女物語』

澁澤龍彦の本、2冊目です。
澁澤が選んだ悪女12人についての紹介なので、割と気楽に読めます。

『世界悪女物語』河出文庫一口に「悪女」と言っても定義はひとそれぞれなのでしょうが、おそらくここに描かれている悪女12人は、澁澤自身が愛すべき悪女なのだと思います。
ものすごい殺戮マシーンのような女性もいますが、意外と「どの辺が悪女?」と思わせる女性も多いです。
また、歴史上の人物ばかりなので、研究者によってその人物への見方・評価は違うと思いますし、尾ひれが付いた話もあるのかも…、とは思いますね。
でもそういう面を差し引いたとしても、面白い作品集です。

この本を読むと、近世までは歴史の中心舞台に立った人物は毒薬の恐怖に常に晒されていたんだなー、と気の毒になります。
そして、歴史に興味が湧いてきます。
この本をきっかけに、興味が色々な方面に行きそうで、そういう意味で非常に刺激を与えてくれる本だと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.23

『長靴をはいた猫』

シャルル・ペローの童話です。
何故突然シャルル・ペローなのか。
それは翻訳者が澁澤龍彦だったからです。

この本を読む直前『功名が辻』の1巻を読了しまして、当然のことながら2巻を図書館へ借りに行ったんです。
が、コンピューター上にはあるはずなのに文庫棚にはなく、仕方なく予約して他の本を借りることにしたんですね。そこで目に止まったのがこの本。
『長靴をはいた猫』シャルル・ペロー作 澁澤龍彦訳表紙を含めすべての挿絵を片山健さんが描かれていて、文庫ながらも立派な絵本を読んでいる気分になります。

収録作品は表題作の他「赤頭巾ちゃん」「仙女たち」「サンドリヨンあるいは小さなガラスの上靴」「捲き毛のリケ」「眠れる森の美女」「青髯」「親指太郎」「驢馬の皮」。
童話を読んだのはすごく久しぶりで、話を忘れているのもチラホラ。読み進んで行くうちに思い出して来たりするんですが、結構新鮮な気持ちで読めました。
澁澤龍彦の文章を初めて読んだのですが、訳文は読みやすかったです。
多分子供も読めるようにだと思うのですが、漢字も少なかったですし。
魔女を仙女と訳すのが面白いですね。

訳者あとがきで「赤頭巾ちゃん」や「眠れる森の美女」の中に女性の性的な暗示を読み取れる、と書かれていましたが、そこまで深読みするべきものなのだろうかと思ってしまったりもします。
まぁ赤頭巾ちゃんがおばあさんの家に着いた後、おばあさんに化けた狼の指示でベッドに入り込む時に服を脱ぐ理由が判らないと言えば判りませんがcoldsweats01

外国文学は、読みやすさが訳者によって左右されると思いますが、これは読みやすくて良いです。
片山健氏のイラストがエロティックな感じなのもまた宜しsmile

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.05.12

『星から来た船』

『星から来た船』上巻図書館から読書のリハビリ用に借りて来た本が新井素子の『星から来た船』上中下。
『星へ行く船』の番外編で、田崎麻子さんの一人称小説になっています。
本編主人公の森村あゆみちゃん以外は登場人物全員が出てきます。(うーん、ご都合主義)

新井素子の小説は久しぶりに読みましたが、うーん、きっつい

まず田崎麻子さんの所長(水沢さん)に対するのろけと贔屓目っぷりが常軌を逸している。
雑誌『コバルト』の読者層ってやっぱり中学生くらいでしょうかねぇ。それくらいの年齢層なら違和感ないのかなー。
恋人に対してこれだけ盲目的な女性って、正直鬱陶しいし、あり得ない、と思ってしまうんですよね。
しかも結婚を考えているんだから、もう少し冷静に彼氏のことを観察できても良いのではないかと。

次に月村真樹子さん。この人の常識はずれっぷりがこれまた苛つく。
今回、真樹子さんの出生のことが明らかになるのだけど、それにしたってこの言動はないだろう!と、ずーっと読みながら感じ続けているので、当然感情移入はゼロ。
途中で麻子さんと真樹子さんは別々のタイミングでお互いに「こういう女性って好き!」と感じてしまうんだけど、それが嘘くさーいっ、と思わずにはいられない。
私はどちらの女性ともお友達にはなりたくないですdash

ストーリーとしては「星へ行く船」シリーズらしい、事件は起きるけど本当の悪人はいない、というパターン。
ご都合主義の極みで大団円になる展開には、呆れながらも構成としてはしっかりしているのかな、と思います。
ただ、世の中そんなに人の良い人ばかりで構成されていないよ、と思ったりはするのですが、まぁこれもこの小説の味なのかなー、と思ったりして。
表紙の竹宮恵子さんのイラストはとても可愛らしく素敵です。それがこのシリーズの救い(ヲイっannoy
対象年齢は小学生高学年〜中学生くらいでしょうか。
二十歳以上の人には暇つぶし用に話のネタとして…という風にしか薦められません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.07.15

『OKAGE』

『OKAGE』梶尾真治梶尾真治さんの『OKAGE』を読みました。
これも1年前くらいに買ったっきり、放置プレイだったもの。

裏表紙の紹介文を読むと「傑作ホラー」と書いてあり、読んでいる途中で「あ、ホラーだったんだ」と思った私。
ホラー小説って実はあまり読んだことがなくて、以前『パラサイト・イヴ』を読んだくらい。ちなみに『パラサイト・イヴ』の感想は、「これって恋愛小説の派生みたいなもんだね」でした。
私の考えるホラーって、もっと根本的に恐怖感をつのらせて行って、理由のない不安を感じさせるモノのような気がするんです。
で、結論として『OKAGE』はホラー小説とは思えない。
敢えて言うならウィキで言うところの「破滅SF」。

梶尾さんならではの文章のうまさで、文鎮かと思わせる重さの文庫本も割と楽に読めましたが、無駄なエピソードも多い気がします。
正直、甲斐耕一のエピソードは必要だったのかが非常に疑問。
結末も納得いくスッキリ感はなし。
最後の奥崎和江のエピソードはちょっと意外な展開で「ヤラレた!」って感じでしたけど。

お薦め度的には低いです。

ちなみに本作品は熊本ローカル色が全面に押し出されているのですが、地元の人だと地名や町の雰囲気などの点から面白さが倍増したりするのかしら?
興味あるところです☆

関連ブログ
梶尾真治『OKAGE』

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007.07.01

アニメ夜話「時をかける少女」と時間SF

先日放送されたNHK-BSのアニメ夜話「時をかける少女」。
録画していたものを見ました。

アニメの「時をかける少女」は去年の夏に公開された映画。
最初は単館上映と言っても良いくらいの映画館で上映されたのが、口コミで評判が広がり上映館が増え、ロングロードショーとなった話題の映画です。(第30回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞)
勿論、私も見に行きました

さて、アニメ夜話。
映像面からのチェックポイントは、漫画家である江川達也さんが鋭い。
キャッチボールのシーンの男投げと女投げの描き方を指摘され、「おー!なるほど」。
あとは影なし技法、というものを初めて知りました。
アニメーション作成側からすると、影を付けずに立体感を表現する、というのは、絵を常に動かす必要があるので大変な労力になるため断念することが多いそうなのですが、この「時をかける少女」ではその技法を使っているんですね。
知らなかったことなので「へーっ!」と感心しきり。

ストーリー面。
タイムパラドックスの考え方について。
今回の「時をかける少女」では、時間軸は常にいくつもの分岐があり、どんどん別の未来ができる、という設定です。これによるリピートがキーポイントといえばキーポイントでしょう。
あまり深く考えずタイムリープしてしまう主人公の真琴は筒井康隆氏も言うようにバカです(笑)。
でも普通の高校生だったら、こんなもんじゃないかな、と思いますね。
岡田斗司夫さんが「世界が狭いことに不満と違和感を感じる」と言っていましたが、小学生から高校生の内ってそんなに世界は広くないと思います。家と学校がすべての世界、というのが普通じゃないかな、と思うので、等身大の高校生を主人公にした時点で、これはこれで良かったのではないかと思うし、世界を拡げちゃうと物語としても収拾がつかなくなると思うし。

折しも『クロノス・ジョウンターの伝説』を読了し、どっぷり時間SFな状態の私。
時間SFの魅力はやっぱりタイムパラドックス。
多分、過去の時間は絶対的なもので、改変を加えられないだろう、というのが私の考えですが、物語的には改変が加えられる方が面白いのも事実。
時間SFでは、映画に名作が多いですね。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「ターミネーター」。
小説では何と言っても「夏への扉」。
マンガでは「私を月まで連れてって!」(竹宮恵子)「フラワーデストロイヤー」(那須雪絵)あたりが、私としては印象深いです。萩尾望都さんの「マリーン」もある意味時間SF?

あー、SF読もうっ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.06.30

『クロノス・ジョウンターの伝説』

1年くらい前に買って放置プレイだった梶尾真治さまの本『クロノス・ジョウンターの伝説』読了。
ま、買った本の放置プレイは日常茶飯事。

『クロノス・ジョウンターの伝説』さて、『クロノス・ジョウンターの伝説』は、梶尾さんが得意とする時間SFの中編集です。
とあるメーカーが作成した過去へ物質を射出する機械「クロノス・ジョウンター」によって過去に跳んだ人たちの物語です。基本はラブストーリー。
数あるタイムマシンの設定と違うのは、過去に跳ぶと一定時間で未来へ引き戻され、しかもその引き戻される時間帯は過去に跳んだ時点よりもかなり未来になってしまう、ということ。
この代償は、簡単に過去に跳ぼうという気を失せさせるに充分な代物な訳ですが、主人公3人はあっさり跳ぶことを選びます。
理性より感情。
この辺がすごい。
その思いの強さに天晴です。

純愛ドラマがお好きな方にはお薦めっ!

ちなみにタイムマシンの名前の由来は、クロノスはギリシャ神話の時間の神の名前。ジョウンターは『虎よ!虎よ!』の“ジョウント”という動詞にerを付けたもの。
文中にもありますが、『火星人ゴーホーム』の“クイム”と同義語と言っていい“ジョウント”という単語。
このあたりのくだりがきっちり古典SFを読んでいる者にはニヤリとさせられるところです。
(ちなみ私『虎よ!虎よ!』は途中まで読んで放置状態。読了せねば☆)
ロバート・F・ヤングの「たんぽぽ娘」が出てくるのも良いですね♪
そして「たんぽぽ娘」も収録短編集を買ったは良いけど読んでいない代物…。ちなみにその収録短編集は7〜8年前に神田の古本屋で1200円もした貴重本(^^;)。読まなくっちゃね。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2007.06.22

朝日ソノラマがぁ…!

ネットでニュースを見てビックリ!

朝日ソノラマが今年の9月末で解散!

ショック! ショック! ショック〜!

確かにマイナー出版社のひとつではありますが、オタクからは絶大の支持を得ていたと勝手に思ってます。
まずSFファンには外せない出版社のひとつ。

多分最初に買ったソノラマ文庫は<クラッシャージョウ>シリーズ。
その後、斉藤英一朗氏のスペオペにハマり、何作か読みました。(買ってたのは弟☆)
現在は日本のSF作家で一番愛する梶尾真治さまの作品を追って、ソノラマ文庫を買ってます。

マンガの方で言えば、友達に借りて読んだ竹宮恵子センセの『地球へ…』。
あまりの悲劇に落ち込みつつも、名作に涙したものです。
その後、雑誌「DUO」の発刊とともに“ストロベリーコミック”が出来、内田美奈子センセにハマります(^^;)。
『百万人の数学変格活用』『ナイフと封筒』『Day In, Day Out』『BLIND』とクールな絵柄と心に突き刺さる話に、クラクラしました。

雑誌「ネムキ」のおかげで波津彬子センセの作品にも出会えましたし、朝日ソノラマには中学生の頃から間断なく付き合ってきた気がします。

嗚呼、悲しすぎます…。
折しも『クロノス・ジョウンターの伝説』の読書中…。
店じまいする前に、梶尾真治さまの絶版本を再版してくれ〜、というのは到底無理なお願いなんでしょうね…。
あううっ(T^T)。

| | コメント (5) | トラックバック (2)

2006.07.13

回らない風車

ココログのメンテナンス中に見たニュースで、「茨城・つくばの風車問題:回らない風車、誰のせい 設置巡り三つどもえ訴訟」というのがありました。
私が反応したのは回らない風車の文字。

SF者ならばお判りかと思いますが、大和真也さんの小説で「回らない風車」というタイトルがあり、私が連想したのはまさにそれ。
なんとも懐かしい小説を想起しました。

大和真也さんというのは新井素子と同期デビューで、二人とも女子高生だった、ということで当時ヒジョーに話題になったそうです。(私はその当時のことはよく知らない。)
新井素子の小説のあとがきに書いてあったので、大和真也という女性のSF作家がいるんだ、ということは知りましたが、実際に彼女の作品を読んだのは大学生になってからかな。

きっかけは同人誌(^^;)。
多分最初に行ったコミケ(勿論TRCに移る前の晴海だ)で買った本の作家さん(MilkyWayさんと言った)が大和真也を好きで、ジュゼシリーズをイラストにしてたんですね。
もとよりSFは大好きだったし、コバルト文庫から出ている、ということで割と手に取り易かったので、一気に買い込んで読んだ記憶があります。
大和真也自身が大好きだと言っているゼラズニィの<真世界>シリーズをフラッシュバックさせるパラレルワールドな話でしたが、既にストーリーは全然覚えていません。

しかも私、ちゃっかり<スターゲイザー>シリーズも買って読みました。
これまたストーリーを全然覚えていません(^^;)。

でも大和真也を知ったおかげでゼラズニィの<真世界>シリーズを読み、その後加速度的に海外SFをむさぼり始めたので、このきっかけは大きかったです。(元を正せば同人作家MilkyWayさんの本を買わなければ…か?)

久しぶりに読みたい気もしますが、図書館にある可能性は低いし、わざわざ古本屋で買ってまでの気力もないので、多分もう読まずに一生過ごすんではないかと思います。
おそらく新井素子にしろ大和真也にしろ、あの口語調な文章を今更読むのは、ちとツライ気もしますし。何年か前に新井素子を読み返したら、ダメだったんですよね〜。

ちなみに新井素子を読まなかったらブラッドベリも読まなかったと思いますし、海外SFに手を出そうなんて気も起きなかったと思います。ついでに、成田美名子を読まなければC・L・ムーアの<ノースウェストスミス>シリーズも、ル・グインの『闇の左手』も読まなかっただろうと思います。

思わず懐かしさから自分のSFのルーツを掘り起こしてしまいました。
あのMilkyWayさんはどうしているのかしらー? すごく可愛い絵で、しっかりSFな話を描かれていて、良かったんだよなー。

●本日の洋服●
ベージュノースリーブカットソー(IB'04)、白チェックブーケptフレアSK(IB'97)、ベージュ七分袖JK(IB'00)

| | コメント (0) | トラックバック (0)